ものつくりの生活と仕事から 大島 寛太の日記
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エア会議
 


製作を続けていた銀木犀の椅子の材種違いのサンプル分がようやく手を離れました。

オイルをたっぷりと吸い込み、蜜蝋ワックスを塗り塗りされて、ここのところ冷え込んでいて塗料の乾きも遅いので、ストーブを囲んでエア会議中。

『背中が寒いな・・・』『おう、背中がな・・・』とかなんとか・・・。

ブラックウォルナットと、ロシア産のナラと、山桜です。



この仕事を終え次の仕事に取りかかる前に、先日引っ越ししたばかりの“semi-aco”加賀さん一家を訪ねて岡山に行ってきます。すんげー楽しみです。どんなところだろう。久しぶりの遠出、ひとりです。

実はもうすぐ出発です。行ってきまあす。


はじめての海



今月は僕と妻の誕生月でした。

おめでとう。31歳(僕)。

なんだか歳を重ねるにつれ、感謝が深くなるように感じます。

こんなところまで生きて来た。すごい。ありがとう。


さて妻の誕生日は、寒さの和らいだお天気でありましたので、一湊を連れて海へ挨拶に行って来ました。お隣りのみなべ町の千里ヶ浜は、漂着する貝殻や石の楽しい砂浜で、ぶらぶらと歩きながら、いつしかポケットがいっぱいになっている。

僕にとっても久しぶりの海で、波の打ち寄せる音に全身で浸りながら歩く波打際は、要らないものを捨て、残ったものに出会う特別な場所。僕にとっては、です。要らないものを捨てると言っても、『あ〜!もう要らねえ!』と投げ捨てるのではなくて、気付くとポケットに開いた穴からこぼれてしまった、という感じ。あれ、ない・・・と思って振り返ると、波が洗った波打際には足跡さえ残っていない。だから、大事なものまで無くさないように気をつけなければいけない場所でもある。









一湊はじめての海。
僕は海に来て、勝手に洗われるわけですが、一湊には波に洗われるなにものも、まだない。










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話はまったく変わり、こちらは先日のお膳。
職人Yのビビンバ。
あまりに美味しそうだったのでお写真撮らせて頂きました。
大根、人参、もやし、ホーレン草のナムルと、お肉は北海道中頓別の安藤さんが送ってくれた放牧ジャージー4歳牛。噛めば噛むほどにコクがしみ出してくる別格なお肉です・・・まいうー!感謝です・・・・・


Cabelo オーガニック・カフェと美容室@田辺市本宮町
先日、友人を訪ねて本宮へ出掛けた折り、素敵なお店に出会いました。

CABELO

辰巳さんご夫妻が経営しておられて、玄関を入って左は奥様のしごと、美容室。

右はご主人経営のオーガニック・カフェ。

CABELOというのは、ポルトガル語で「髪の毛」。

普段は風呂場のバーバー・カンタでセルフカットの僕ですが、何度も自分で切っている内に、折々収拾がつかなくなってくる。それで、たまにプロの手で散髪してもらう。

毎日の生活が山裾の田舎暮らしですから、美容室という空間はいわば別世界で、病院に行った時と同じように大抵の場合は気後れして尻すぼまりな感じで帰宅するんですが、CABELOはよかった。店主の人柄とセンスですね。ありがちな表面的な装飾がなくて、すこぶる気持ちがよい。

カットを終えて昼時になっていたので、そのまま隣で昼の食事。
カレーセットを頂きました。カレーも美味しいけど、サラダは更に美味しい。野菜類の多くはご自分でつくられているとのこと。水菜と(確か)レタスにルッコラが効いていて、シーザー風のドレッシングが抜群。クルミ入り。バリューセットでした。

辰巳さんの本棚を見て、思わず嬉しくなった。
僕の大好きな本や読んでみたかった本が何冊も並んでいる。
星野道夫、ピーター・マシーセン、植村直己・・・
聞いてみるとご主人はカヌーが好きで、カナダの海岸を3ヶ月間、カヤッキングしたこともあるとのこと。今度はゆっくりお話しを聞いてみたいと思いつつ帰途についたのだった。

おすすめです。
本宮方面に出掛けられた時は是非Cabeloに寄ってみてください。


そう、デジカメは充電が切れていたのです。
登坂
 

昨年納品した『銀木犀の椅子』、
今年度分のサンプル用に材種違いの製作も進めています。

コンターマシンで曲線を切り抜き、ベルトグラインダで荒成形。
この椅子は、仕上げにはサンディングペーパーをあてていますが、
まずは鉋と小刀などを使って輪郭を整えてゆきます。
一台一台に、それなりの時間が積み重なっていきます。
手間と時間のかかるやり方ですが、自分は時間と手間をかけてもの作りをしたいのだからこれで良い。年輪で言えば1年に1ミリから15ミリ程度しか成長しない樹木が素材です。







こちらは杉。ご使用中の座卓を使い勝手良く、
きれいにしたいとのことでご相談いただきました。
元(根元側)の幅の広いところは1m10cmもある。
とりあえず製材所で12cmあった厚みを9cm強まで挽き直し、
近場の木材加工場のオバケサンダーで厚さを揃えてもらう。
ここから削り仕上げです。

焦ってはいけないけど、モタモタしてもいられない。
下りのエスカレーターを登っているような感じです。
drop leaf table 2
 あけましておめでとうございます。

2012年、初めての投稿。
遅ればせながらではありますが、
今年もどうぞよろしくお願いいたします。








昨年末から制作していたテーブル。
塗装、金具の取り付けなど全ての工程を終え、間もなくの納品を待っています。






おもて面



背面

普段は補助甲板のついた側を壁につけて使い、
必要なときには壁から離し、甲板を広げてお使い頂けます。
補助甲板が付いた背面も、金物等が煩雑な印象にならないよう、言うなれば『こだわって』います。背面を見せて、カウンターのような使い方も可能かと思っています。












ディテール。
下画像は脚の可動部、自作の真鍮金物でオリジナルの構造を目指しました。







ドロップ・リーフ・テーブル
H680 W1400 D450+300
材種 ハードメープル無垢
塗装 ウレタンオイル含浸
参考価格 ¥200,000
Drop leaf table
ドロップ・リーフ・テーブルの制作を続けています。

自分の仕事を説明する時に、自分の仕事が“制作”なのか、“製作”なのか、一応区別しています。以前辞書で調べてみたところ、いわゆる作品をつくる事には制作の文字をあて、製品(若しくは商品)をつくる場合には製作の文字をあてるのが慣例であるようです。

では作品と商品の違いは何だろうかと考える。以前、semi-acoの加賀さんがブログで書いていたいたことを踏まえて自分で定義し直してみると、自分にとって、売れなくても価値のあるものは作品。売れなくては価値のないものは商品。少々強引に、ひとまずこう定義してみる。

初めての仕事では、デザインをあたため、図面に起こし、つくるプロセスを確立し、自分のなかのイメージを具現化する。これは制作だと思う。2回目からは、既存のプロセスをいかに素早く合理的になぞるかに意識は傾く。目的は“つくること”の先にある。これは製作だと思う。

このふたつのセイサクには決定的な違いがある。英語で言うとcreateとmakeの違い。それが日本語だと同じ“つくる”になってしまう。この両方の要素が僕にとっては重要です。主観を働かせ、イメージを追求するcreate.。客観的に仕事を眺め、主観を判断するmake。そのどちらかだけに傾くことも、僕は希望していない。主観でどーんと行って、客観でチクチクと刺す。そのふたつの歯車の噛み合うところに、自分の立ち位置を探してみたい。職人であるだけでは自分の仕事に意義が感じられないし、職人未満の作家には断じてなりたくない。さあ、難しいこと言ったぞ。





先日の自作金物の続き。コンターで切り抜いたものをヤスリがけして成形。






今回使うのは6枚。どうすれば上手くいくか。かたちも構造も加工手順も考えながらで時間がかかる。でも、しょうがない。登山に例えると、こういうのは薮漕ぎ(ヤブコギ)と言うのだと思う。





削り。

一度道が出来ると、通うのは楽になります。
20111225



1224のご馳走。風呂窯ピッツァ。
風呂を焚いて、熾き火になったところでピザを投入。職人Yの勘が冴えます。









こっちは猫のニャゴのクリスマスのご馳走。
焼海苔とヨーグルト。地味な好みだねぇ。
渋めだねぇ。









ニャゴ。ただいま7歳?
四脚の先が白いのでホワイトソックスの敬称もあります。
好物はフリスキードライとネズミ君です。












開けて25日。
今年の初冠雪(かおりさん、“冠雪”でっせ)。
玄関を開けると一面の雪景色。テンションは振り切れて、静けさが訪れます。
写真下に我らの小さな住まい (カンが撮ってくれて以来、このアングルはお気に入りです)。






















クリスマスにハマダクロースがプレゼントしてくれた帽子をかぶって、朝の散歩。一湊、はじめての雪。ナウシカに出て来そうな帽子です。アスベルが被ってそう。











和歌山に引っ越して来て、6度目の年末。北海道生まれですから、雪に囲まれると否が応でも故郷を思い出す。それは、自分が置いて来たもの。これで、よかったんだろうか?生きている間には、どうしても決断をしなければいけない時があって、ひとつの選択で、その後の人生は大きく変わる。本当は、いつの瞬間も、その時の連続なのだと思う。それでも選択の大小はある。ここに引っ越してきたのは、僕にとっては大きな選択のひとつだった。いま決めた事が、どのように自分の人生を左右するのか、わからない。その善し悪しにいたっては、尚更わからない。それでも、決めなければいけない時は来る。あとは、自分が選んだ道を自分で肯定できるよう、努力することが出来るだけだと、思って来た。いまもそう思う。
かべ
木工、特に家具をつくる仕事をしていると、算数の大事さがよくわかります。寸法は長さであって数字ではないんだけど、いちおう方便として数字で表します。家具の構造によっては、関数の計算もよく使う。

先日、藤門弘さん訳のシェーカー家具の解説書を読んでいたら、いま制作中の片側タイプも含めて、跳ね上げ式の補助甲板がついたテーブルの類を、英語ではdrop leaf tableと呼ぶらしい。




ドロップ・リーフ・テーブル(ネットより借用)




伸張した補助甲板を支えるためには可動式の脚が必要で、今回はオリジナルの構造に取り組んでいます。さて、ここで問題。





点Cは固定しています。
線分aが点Cを中心に時計回りに120°回転し、線分bと重なるようにするためには、線分aはx軸方向にどれだけ移動すればよいか求めよ(線分aは線分b上で切れており、点Cとはつながっていない)。

自慢じゃありませんが、僕は数学がすーごく苦手でしたし、未だにそう。文系一筋で来ましたし、数学を勉強する意味がわからなかった高校時代は0点もよくありました。なにせ、なにが分からないかが、まずわからない。何を考えていいかわからないので、ひとまず言葉に置き換えてみる。でも解決の糸口が見つからない。手をかける枝が見つからない。例えるならば、ガラスの壁。

散々考えて、解らなくて、通りがかりのヨッちゃんにも聞いて・・・ふと気付く。なあんだ!単純なことじゃないか!点Cを中心に120°回転した線分aはb’と重なるので、線分aを単純に線分b上に移動させると考えればよい。だから線分aから垂直に-10mm移動したところに求める線分a'は来るので、求める数値は10mmの斜辺になる。計算は10÷cos30=約11.54。つまりx軸方向に-11.54mm移動すれば良い。

苦手意識があるから、必要以上に難しく考えてしまう。実はすごく単純な事なのに身構えてしまう。数学に限らず、自分の身の回りの事に関して、出来るならばもっと遠いところまで、感情や先入観抜きに、単純に物事を見つめられるようになりたいと、願う。





求めた数値を当てはめて図面を描き、




コンターで真鍮板を切り抜き。コンターマシン。金属加工用の機械ですが、モーターの回転数を調整して、木工・金工両方に使えます。“コンター (contour) とは輪郭のことで、板にけがいた線に従って板など加工品を動かして外形を加工するのに用いる。” 左記wikipediaより。汎用性の高い、コストパフォーマンスに優れた、工房の必需品です。

今年はクリスマスとは一切縁のない一日を送っている大島ですが、結が風呂窯ピザを焼いてくれている。さて、晩飯よばれに行って来ます。皆様、よいクリスマスを!
年末の仕事











先日追加納品分の椅子の組み立てを終え、おそらく今年最後になるであろう仕事に取りかかっています。随分お待たせしてしまっているテーブル。

今回は使い勝手に合わせて片バタフライのテーブル。普段は壁面に付けて片側からだけ使い、来客時には壁から離して、エクステンド(拡張)して使う。田辺市内のご注文なので、一度お宅にお邪魔して、持って帰ってきた記憶を下敷きにイメージを練る。

お宅のフローリングがメープル調だったので、ご了解を頂いて材料はメープルを調達。本当はイタヤカエデを使ってみたい気持ちがありましたが、ちょうど用途に合う乾燥材が見つからず北米産のハードメープルにした。

北米材はじめ外国産材は、輸入時の取り扱いやすさも考えてのことか、同じ厚み、一定の長さで人工乾燥を行った規格材が手に入りやすい。国産材になると建築用材は細かく規格に分けて製材されたものが手に入るけれど、広葉樹はそうではない。そもそもどんな用途に使うかが決まらなければ、どのように製材するかも決められない。薄く細く製材してしまうと、それ以外に用途がなくなる。厚く、大きく製材しておけば、用途に合わせて挽き直して使う事ができるので、嫁入り先の決まっていない丸太は必然的に大きめに製材される。2寸とか、3寸とかの木目のきれいな一枚板は比較的探しやすいけれど、例えば今回のような時に、歩留まりよく(無駄なく)つかえる1寸強の揃った板を探そうとすると、なかなか見つからない。

自分の定番が在って、その目的に合う丸太を、目的に合わせて製材し、自分でストックしておくというのが理想の材料調達だけれど、何年も先の仕事を見据えて材料を買っておくほどに、自分は確定していない。でも、それが目標だなあ。全ての仕事に関してというわけにはいかないけれど、そういう安定感を仕事の底につくりたい。


・・・・・・・・・・


メープルは初めて扱う材種です。一言で言えば、難しい。木肌が白いので、小さな欠点がすごく目立ってしまう。金筋(かなすじ)という鉱物を吸い上げた部分が現れることがあり、刃物が痛む。けれど材質は緻密で、手触りの良さと上品な風格はやはり独特の魅力を持っている。木の持つ魅力を引き出せるよう、能う限りを尽くすのみです。






 
一湊、寝返りをうつ。
 


12月8日で5ヶ月になった一湊。先日はじめて寝返りをうちました。

それまでは横向きにまではなるんだけど、例えば左向きに回ろうとするとよく太った左腕がなかなか乗り越えられない。別に乗り越えなければならない訳でもない。遊びなのだろう。右向きになったり、左向きになったりして、結局まわりきれなくて、またゴロンと仰向けになって、それで喜んでいる。

ところが或る日、台所からふと振り返ると、
一湊が寝返って頭を持ち上げ、非常に満足そうに、満面の笑みでこちらを見ている。
感嘆の賛辞を述べるときゃあきゃあ喜んでいる。


・・・・・・・・・・・


初めて親になった者は、皆感じることなのかもしれないけれど、
自分の人生のなかに、なにか今までなかったものが在る。

自分の内部の、今まで在ることすら知らなかった感情に手が届く。
それは今まで底であると思っていた場所より少し深いところにある。
底に小さな穴が開く。
開いた穴から水が入り込んで来て、水と船の境目がわからなくなる。
水になる。
人生に難破する。
それは、受け入れるということだろうか。
底に穴を開けて、水になって、わたしは白いはんぺんを浮かべている。

こんなふうに、抽象的にでも言わなければ、
とても語れないような、
親馬鹿な、話です。